2017年4月9日日曜日

第62回青少年読書感想文全国コンクール「生きる 劉連仁の物語」を読んで 劉さんの思いを受け止め 全国の中学生の感想文27篇が入賞!


 去る2月3日、東京経団連会館において第62回青少年読書感想文全国コンクール(主催 全国学校図書館協議会・毎日新聞社、後援 内閣府・文部科学省)の表彰式が開催されました。
 今回のコンクールには全国の小・中・高等学校や海外の日本人学校で学ぶ子供たちから437万6313篇の応募があり、その中から5部門(小低・中・高、中学、高校)合計496篇が入賞しました。
 課題図書の一冊となった劉連仁の半生を描いたノンフィクション『生きる 劉連仁の物語』(森越智子著 童心社)の感想文は、中学生の課題図書入賞作品51篇中27篇にも及び、うち5篇が毎日新聞社賞、学校図書館協議会会長賞、サントリー激励賞を受賞しました。
 学校図書館協議会会長賞に輝いた名古屋の中学生は、「自分の生まれ育ったこの国が、かって強制連行や強制労働という非人間的行為を行っていたということを、僕は信じたくなかった。けれどこの本を読み終え心を落ち着かせて考えたとき、僕は日本人として、祖先が過ちを犯してしまったことを受け入れなければならないと思った。物語との出会いが僕の歴史に対する認識を変えた。」と綴り、また、過去に受けたいじめの傷から立ち直れず生きることを模索していたという埼玉県の中学生は、「壮絶な人生を生き抜いた劉さんの13年間の軌跡に触れて命の尊さに気づいた僕は、〝生きる〟ことに対して、確実に真剣になった。どんなに辛くても生きるのをあきらめなかった強さを、僕は忘れることなく、どんな時も逃げない選択をしていきたい」と、劉さんから生きる勇気をもらったことを書いています。
 作者の森越さんは、「どの感想文も豊かなまっすぐな感性で、日本の加害の歴史を受け止め、劉さんの生き抜いた力への尊敬と、人権の尊重と平和への思い、これからの自分の生き方への決意に溢れています。読んで、胸が熱くなりました。授賞式で直接会って握手を交わした中学生たちの笑顔に、希望を感じました」と話し、このコンクールを通じて、少なくとも10万人以上の中学生が、時代を超え劉さんと出会い、素晴らしい感想文を寄せてくれたことを報告してくれました。劉さんの思いは確かに次世代に届けられています。
 尚、『生きる 劉連仁の物語』は「北海道青少年のための200冊」のも選定されました。

 作者の森越智子さんは、「生きる 劉連仁の物語」の作品で、作家、浅田次郎さんによって日本ペンクラブに推薦され、2016年6月から日本ペンクラブ会員になりました。